Concierto / Jim Hall


曲:★★★★
演奏:★★★★
ジャズ入門度:★★★★★
評価:★★★☆

このアルバムがどういう経緯で製作されたのかは知らないけれど、結論から言うと実によくできたアルバムと表現するほかない。時代は75年、つまりフュージョンが完全に市民権を得た後ということもあり、ここでもその匂いがプンプン。原因はロン・カーターの電化ウッド・ベースのサウンドと、純粋なジャズ・ドラマーとは言い難い(今ではエリック・クラプトンとの活動でも有名な)スティーヴ・ガッドのスタイルにある。そんな力感あるリズム・セクションに対する他のメンバーの演奏はソフィスティケイトされているという言葉が相応しい。ジム・ホールのクリーンなトーン、チェット・ベイカーとポール・デスモンドの柔らかいサウンド、小奇麗なローランド・ハナのピアノ、これらを融合させたドン・セベスキーのアレンジ、すべてが完璧に構築されている。20分弱の表題曲がなんといっても目玉だけれど、[1] の軽快感も素晴らしい。ジャズに Fire や Passion を求める向きには物足りないだろうけれど、ここまで完成度の高いアルバムもそうはなく、それ故にじっくりと聴きこむことができる作品。まさにクリード・テイラーのプロデュースの勝利。(2009年10月3日)

 

 

[Recording Date]
1975/Apr

[1] You'd Be So Nice
     To Come Home To
[2] Two's Blues
[3] The Answer Is Yes
[4] Concierto De Aranjuez

Chet Baker (tp)
Paul Desmond (as)
Jim Hall (g)
Roland Hanna (p)
Ron Carter (b)
Steve Gadd (ds)
Don Serbesky (arr)